MOMO TIMES 11月号
木次バターをお使いくださっている
ヘルンさんが愛した味をお土産に。
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』が9月29日からスタートしました。このドラマは、小泉セツ&八雲夫妻をモデルにした物語で、怪談を愛する夫婦の何気ない日常が描かれています。舞台が明治の頃の松江とあって、番組がスタートする前から松江周辺は『ばけばけ』で盛り上がっており、『ばけばけ』にちなんだお菓子もいろいろ販売されています。
小泉八雲【ラフカディオ・ハーン】は、ギリシャ生まれのアイルランド人(英国籍)。松江には英語教師として赴任しました。「ヘルン先生」または「ヘルンさん」と呼ばれ、松江の人に親しまれたと伝えられています。そんなヘルンさんが好んで召し上がったのが、卵を使った和菓子“黄味しぐれ”でした。
これに着目した松江の老舗和菓子店『風流堂』さんが、ヘルンさんにちなんだお菓子を作られました。その名も『ヘルンさんのおもひで』。卵とバターを素材に使った、少し洋風の焼きまんじゅうです。有限会社 風流堂を訪ねて、社長の内藤葉子さんにお話を伺いました。
「弊社の製品は基本的に生菓子中心で、これまで日持ちのするお菓子がほとんどありませんでした。そのため、日持ちのするお菓子が好まれるお土産としては、使っていただきにくいという難点がありました。
ヘルンさんにちなんだお菓子を考えた時に、黄味しぐれをイメージした、日持ちのする“焼きまんじゅう”を作りたいと思いました。その“焼きまんじゅう”の試作をしたところ、バターを強調しバター風味にするか、バターの量を控えめにしてあっさりとした味わいにするかで、お菓子のイメージが大きく変わりました。半年以上かけてバターの量を調整しながら味わいをさぐり、発売日ギリギリまで調整をしました。最終的に、パクパクと何個でも食べていただけるような、深みがありながら重すぎない、良いあんばいのお菓子になったのではないかと思っています。
『ヘルンさんのおもひで』が、島根のおいしさを全国に運んでくれるおみやげとなることを願っています」
『ヘルンさんのおもひで』
弊社の『奥出雲木次バター』、奥出雲産の平飼い卵、島根産の米粉などを使った焼きまんじゅう。深みがありながら、重すぎない味わいです。トッピングの出雲産ドライいちじくが食感のアクセントになっています。
松江は京都、金沢と並び日本三大菓子処として知られています。風流堂は明治23年に松江で創業した出雲地方では誰もが知っている老舗和菓子店。日本三大銘菓『山川』や季節の和菓子などを、素材を吟味しながら、手間を惜しまず丁寧に作られています。和菓子には使われなかった牛乳やバター、カカオを積極的に採り入れるなど、伝統の技に新しい風を起こされています。

ヘルンさんのおもひでのラッピング

ヘルンさんのおもひでの個包装
「おいしいから買う」と言っていただけるお菓子を作って行きたい。
社会福祉法人 身体障害者自立協会 理事長の西村 謙さんにお話を伺いました。
大阪市東淀川区にある『社会福祉法人 身体障害者自立協会』さんは、1978年から福祉団体として、重度障がい者(脳性まひ)の生活と就労支援を行う活動を始められました。現在は重度障がい者だけでなく、身体的、知的、精神的な障がいを抱える方々の支援を行っていらっしゃいます。『フリーダム創生』さんは、『社会福祉法人 身体障害者自立協会』さんの事業所の一つで、さまざまな障がいをもった方が『フリーダム創生』さんに通い、お菓子やパン、リサイクル手漉き紙の製造・販売などの中で自分に合った仕事をする、就労継続支援B型事業所です。

社会福祉法人 身体障害者自立協会 西村 謙 理事長
バターを使い始めた理由
「『フリーダム創生』では、利用者さんが自分たちで作ったお菓子を自分たちで対面販売していました。しかし、2019年から始まったコロナ禍で、対面販売がむずかしくなり、売り上げも落ちてしまいました。ネット販売などに切り替えたのですが、そうするとなかなか売り上げが伸びません。どうやったら販路を拡大できるのか悩み、ある事業者さんに相談したところ、『君たちの作っているものは、お願いして初めて買ってもらえる製品。お客さんが好んで買う製品ではないよ』とダメ出しをされました。
思い返してみると、それまで自分たちがどういうものを作ることができるのか、というところから製品作りを行い、購入してくださるお客さまのことは二の次だったように思います。やはり製品というものは、まずはお客さまが欲しいもの、お客さまに喜んでもらえるようなものを作らないといけないな、と思いました。
その反省を踏まえ、販路拡大のためにまず考えたのは、クッキーの味と風味を変えること。そのためには、ずっと使っていたマーガリンをバターに替えたいと思いました。バターに替えることで味と風味が良くなるだけでなく、付加価値もついて、販売しやすくなるだろうと考えたからです。
そこで、バターを使ってクッキーの試作をしてみたところ、バターを溶かす段階から『いい匂い!』と、利用者さんから感動の声があがり、食べてみると風味がよくて、マーガリンを使ったものとはまったく違うおいしいクッキーができました。
バターを使うようになってから、お取引先さまからの要望で、全国おみやげ人気ランキング一位のフィナンシェも作り始めました。現在、フィナンシェがとても好評で、ギフトにも使っていただけるようパッケージを新しいデザインに変更しました。これまで製品の見た目には力を入れて来なかったので、パッケージなどでブランディングを図ることで、より多くの方に手に取っていただきやすい製品にして行きたいと考えています。
私たちの製品は社会福祉法人の利用者さんが作ったものですが、お客さまから『利用者さんが頑張っているから協力のために買う』ではなく、『おいしいから買う』と言ってもらえるような製品づくりをしていきたいと思います」

製品名は『しっとりフィナンシェ』
木次バターを選んでくださった理由
「マーガリンをバターに替えることを決め、仲卸業者さんにその旨をお伝えしたところ、『バターはまとまった単位でないと販売できない』と断られました。そこで、小さな単位でバターを販売してくれる乳製品メーカーや牧場はないかと探していたところ、うちのスタッフから木次バターを使ってはどうかとの提案がありました。そのスタッフは“乗り鉄”で木次線に乗ったことがあり、その沿線に木次乳業という“コア”な乳製品メーカーがあることを知っていました。早速、木次バターを取り寄せ、クッキーを焼いてみたところ香りが抜群に良く、食べてみると味もおいしくて、このバターに私たちの夢を託したいと思い、木次バターを使うことに決めました。
“木次バター使用”と書いたPOPを、移動販売の時に利用者さんが掲げていると、それを見たお客さまが『木次乳業のバターを使っているの?』と話しかけ、購入してくださることもあります。これまでうちの製品はお客さまに訴えかけるものが何もなかったのですが、木次乳業のバターを使っていることが私たちの自信にも繋がっているなと感じます」
一人ひとりの個性を大切に仕事を分担
「『フリーダム創生』では、利用者さんに製品の製造と販売をしてもらい、その売り上げから給料(工賃)をお支払いしています。働くことの意識づけをするため、毎月、利用者さんに集まってもらい、先月の売り上げはこれくらいで経費がこれくらいなので、給料としてこれくらい支給しますと、説明をしています。1か月の売り上げの目標は100万円で、利用者さんはその目標を達成しようと、積極的に働いています。製造も販売も、作業を細分化してそれぞれに担当者を決めています。重度の障がいの方を含め、全員ができることの中から何かを担当するようにしています。お客さまから直接いただく『ありがとう』の言葉もみなさんの励みとなっており、販売に出かける機会が増えると笑顔が多くなっていくのを感じます」
フィナンシェ担当のリーダーは弱視で、試作中にうまく焼けず、『悔しい!』と言いながら毎日毎日、何度も焼き続けていました。1か月経った頃に販売できるレベルのものができると、以降ほとんど失敗がありません。むずかしい作業のフィナンシェは、みなさんの憧れの仕事となっています。

フィナンシェ製造のようす①

フィナンシェ製造のようす②

フィナンシェ製造のようす③

製品づくりのようす
移動販売
作った製品は、利用者さんが移動販売やマルシェなどでの対面販売をしています。移動販売の目的は製品の販売ですが、それだけではなく、利用者さんたちが知らない人と話をする機会をどんどん設けていくことが、もう一つの目的。「いらっしゃいませ」「フィナンシェはいかがですか」と声を出しながら、知らない人と話しをすることのストレスが自己成長に繋がります。

移動販売で販売している「SUNNY COOKIE」

移動販売のようす①

移動販売のようす②

フリーダム創生で撮影された集合写真

大阪府大阪市東淀川区小松4-3-28 淀川栄光協会1・2F
TEL 06-6327-4191
Facebook https://www.facebook.com/Freedomsosei/
Instagram https://www.instagram.com/freedomsosei/
オンラインショップ https://freedomsosei.base.shop/
社会福祉法人 身体障害者自立協会 https://s-jiritsu.org/
※就労継続支援B型事業:病気や障がいなどの理由により一般企業で働くことがむずかしい人に対し、就労の機会や生産活動の場を提供する福祉サービス。身体障がい、知的障がい、精神障がい、難病のある方が対象で、生産活動を通じて社会とのつながりを持ち、生活リズムを整えること、そして将来的に就労継続支援A型や一般就労への移行を目指すことを目的としている。
飯南町産の高糖度さつまいも、『シルクスイート』
今、全国で注目されているさつま芋があります。焼き芋にした時の糖度が驚異の50度超えを誇る飯南町産『シルクスイート』。この芋を生産するのは、飯南町にある『株式会社 なつかしの森』。この会社のさつま芋部門を担っているのは、かつてこの町(飯南町に合併前の頓原町)の町長をされていた本田哲三さんです。
本田さんは町長退任後、高齢者福祉施設『あゆみ』の社長に就任し、2012年に『あゆみ』が障がい者福祉事業を始めたことから、障がいを持つみなさんと一緒に農園でさつま芋を作り始めました。2016年に『あゆみ』の社長を退任後、さつま芋の栽培と販売に本格的に着手されました。『株式会社 なつかしの森』の本田哲三さんにお話を伺いました。

本田さん(中央)と、スタッフのみなさん
さつまいも栽培と飯南町の環境
「私が地域の皆さんと共に趣味のような形でさつま芋栽培をはじめたのは2003年のことです。おいしい芋になるように畑に海藻を入れたりなど、あの手この手を試し、楽しみながらさつま芋を作っていました。
2014年には「さつまいも研究会」を作り、島根大学の先生たちと共同圃場でさつま芋の研究を始めました。研究の結果、さつま芋栽培には、標高、昼夜の寒暖差、土質の3つが重要で、飯南町はさつま芋を育てるのにちょうどいい環境ということがわかりました。飯南町は標高450mの中高地にあり、昼夜の寒暖差が大きく、そのため秋には霧が発生し深く静かに作物を包みます。土壌は、三瓶山の火山灰土(黒ぼく土)で、ミネラルを多く含んでいます。この恵まれた土地で、農薬・化学肥料を使わずにさつま芋を育てています」

三瓶山
シルクスイートとの出会い
「私はさつま芋の種芋を、阿蘇山の麓にある熊本県西原村のさつま芋農家さんから購入していました。私が本格的にさつま芋作りに取組み始めた2016年に熊本地震があったのですが、そのときに、その農家さんから連絡が入り、『あっちこっちが壊滅状態でさつま芋を出荷することかできない』と知らされました。『それだったら、私がその芋を売ってあげる!』と、友人と二人、4トントラックで西原村に駆けつけ、さつま芋を持ち帰って、“熊本地震の支援”ということで販売しました。
そのさつま芋は、それまで見たことのない種類の芋で、購入した人からの評判もとても良いものでした。後に、その芋がシルクスイートという芋だと聞き、シルクスイートをうちで作ってみたいと思い、その年の春から作り始めました。
秋になってうちの畑でできたシルクスイートを収穫して焼き芋にしてみると、抜群に甘くて、おいしくて、大変驚きました。焼き芋の糖度をはかったらなんと、50度を越えていました。今、そのシルクスイートの焼き芋が東京の焼き芋屋さんなどでたくさん売れるなど、需要が多く、弊社の畑と契約農家さんのものをあわせて毎年160トン出荷しています。
シルクスイートは、『松江モリモリ奥出雲』で11月1日から販売予定です」
目指すは芋づる代官
「島根県では1733年頃からさつま芋の栽培が始まりました。このさつま芋の普及に努めた人が、石見銀山領の第19代大森代官・井戸平左衛門です。1732年の『享保の大飢饉』のときに、あらゆる方法で多くの人を飢饉から救い、その後、凶作や災害を想定して備蓄する食料にさつま芋が適していると、門外不出だった薩摩藩のさつま芋を何とか手に入れ、領地に導入しました。このさつま芋が、その後の食糧難のときに多くの人の命を救いました。井戸平左衛門がこの地の代官を務めたのは2年ほどでしたが、人々から『芋代官』と呼ばれ、今なおその偉業が語られています。
飯南町は人口約4,400人の過疎の町ですが、この土地でさつま芋栽培をしてみたいという人が県外を含む町外から来られて、何人もうちで働いています。さつま芋栽培を通じて、農業関係者や、それ以外のたくさんの人々との出会いもありました。『芋がうまい』。これだけのことで人と人とは繋がっていきます。私は“芋代官”にはなれないけれど、“芋づる代官”になって(笑)、さつま芋のネットワークを拡げて行きながら飯南町の活性化をはかりたいと思っています」

収穫したばかりのシルクスイート

シルクスイートの焼いも

芋の洗浄

機械でのいも掘り

収穫後の積み込み
なつかしの森『シルクスイート』は松江モリモリ奥出雲で販売しています。
松江モリモリ奥出雲 イオン松江店1F
営業時間:8:30-20:00(ただし、野菜の入荷は9:30-)
TEL 0852-27-7603
モリモリ奥出雲とは
“縁の下の力持ち”として弊社が26年前から取り組んでいる活動で、奥出雲(雲南市・奥出雲町・飯南町)の農家の皆さんの農産物や農産加工品、企業が作る製品を、イオン松江店内にある店舗で販売しています。この活動によって農業が元気になり、今75歳以上の人たちの野菜づくり、ものづくりの知恵や技術を、次世代へ継承していくことができればと考えています。
毎週火曜日、20日・30日は、弊社乳製品がお得!
毎週火曜日の『松江モリモリ奥出雲 乳製品の日』と、毎月20日・30日の『イオンお客さま感謝デー』は木次乳業製品の特売日。詳しい情報は、『松江モリモリ奥出雲』のインスタグラムで。
インスタグラム https://www.instagram.com/morimoriokuizumo/

松江モリモリ奥出雲
木次乳業社員食堂『おまかせや』レシピ
木次プレーンヨーグルトを使った
プルーンヨーグルト
材料(2人分)
・木次プレーンヨーグルト・・・300g
・ドライプルーン・・・100g
・ブルーベリー・・・お好みで
・ハチミツ・・・お好みで
作り方
① 木次プレーンヨーグルトを水切りしておきます。
② ドライプルーンを細かく刻みます。
③ ①をボウルに移し、②を入れて混ぜます。
④ ラップをして冷蔵庫で3時間ほど冷やします。
⑤ 器に盛り付けます。お好みでブルーベリーを飾って。
ドライプルーンの甘みだけでおいしくいただけますが、お好みでハチミツを加えてもOK🍯
プルーンとヨーグルトが腸内環境を整えてくれますよ♪
『おまかせや』三加茂 真由美より
おまかせや10月20日(月)のメニュー

① 玄米ごはん
② 塩サバ
③ 豚汁 相談役・佐藤から、地域のお祭りのお裾分け
④ ウインナー、キャベツ、ニラ、きのこのあんかけ風
⑤ 玉ねぎときゅうりのナムル 三加茂家のご近所さんが作ったきゅうりを使って
⑥ 木次平飼い卵の卵焼き、さつま芋の蜂蜜レモン煮、蓮根のきんぴら
⑦ プレーンヨーグルト