MOMO TIMES 3月号

木次パスチャライズ牛乳で、シュクメルリ
2024年11月に岡山県内で開催された『中国地区 牛乳・乳製品料理コンクール』(中国生乳販売農業協同組合連合会主催)において、松江栄養調理製菓専門学校調理科2年生の井上功晟さんの料理「しじみのシュクメルリ」が、『中四国農政局長賞』(最優秀賞)に選ばれました。『中四国農政局長賞』は、島根県からは初めての受賞です。「中国地区 牛乳・乳製品料理コンクール」は毎年開催されており、令和6年度は1,323作品の応募がありました。松江栄養調理製菓専門学校では、このコンクールの応募作品を作ることが夏休みの宿題となっています。
井上功晟さんは「しじみのシュクメルリ」のベースとなる牛乳に木次パスチャライズ牛乳をお使いくださいました。受賞した井上功晟さんにお話を伺いました。
「しじみのシュクメルリ」はどのようにして思いつきましたか?
牛乳の普及を目的としたコンテストなので、なるべく牛乳をたくさん使えるスープ料理を作ろうと思いました。スープ料理を調べていく中で、ジョージアという国の家庭料理「シュクメルリ」が目に留まり、作ってみようと思いました。使用する食材は地元のものを使いたかったので、クラムチャウダーがあさりの出汁を使うイメージで、宍道湖産しじみの出汁を使うことにしました。
コンクールで木次パスチャライズをお使いくださった理由は?
牛乳はスープの味のベースとなるので、地元のおいしい牛乳を探しました。私は京都出身のため島根の食材にあまり詳しくなかったので、周りの人に島根を代表する牛乳を聞いてみたところ、木次パスチャライズ牛乳の名前がありました。そこで購入して飲んでみると、とてもおいしく、味にまるみがあったので、この牛乳を使いたいと思いました。
コンクールに出場して良かったことは何ですか?
『中四国農政局長賞』を受賞でき、とてもうれしく思っています。この料理はニンニクやチーズなど香りの強い食材を使うため、しじみの出汁の濃さの調整がむずかしく、試作を重ね、何度も味見をしながら作っていきました。以来、ちょうどいい塩梅を狙うことが習慣になりました。味の塩梅の調整もですが、コンクールに出たことで自分の今後の課題を見つけられたように思います。
井上功晟さんは、この3月に専門学校を卒業し、京都の老舗料亭に就職されます。
写真提供:松江栄養調理製菓専門学校
Instagram:@matsucho3018
現場目線で感じたことを高校生たちに伝える
農業キャリアガイダンス講習会 = 出雲農林高校 =
令和7年2月5日(水)、島根県立出雲農林高等学校で行われた、動物科学科の1,2年生を対象とした“農業キャリアガイダンス”に6名の畜産関係者が講師として招かれました。弊社の牛乳を搾ってくださっている『板井牧場』板井さん、『ダムの見える牧場』大石さんも講師として招かれ、プロジェクターを使って牧場の紹介をしたり、グループになった生徒たちの質問に応えたりしました。
出雲農林高校の安食淳一先生は「酪農家になって欲しい、繁殖農家になって欲しいと言っても、学校で学ぶ実務だけで将来を決めるのはむずかしい。現場の生の声を聞くことにより興味を持つ生徒もいるので、こういう機会を増やしてきたい」と話していらっしゃいました。
板井 雄士さん(板井牧場)
兵庫県伊丹市出身 45歳
高知県立農業大学校卒業 → 萩原ハイランドファーム(広島県) → アメリカ留学 → 萩原ハイランドファーム → 原牧場(島根県) →
2009年 廃業する牧場を譲り受け、「板井牧場」開牧
板井 雄士さんへの生徒からの質問と回答
酪農をする上で心掛けていることは何ですか?
「古い言い方ですが、『一頭入魂。』一頭一頭の牛にとにかく手間をかけ、世話をしています。多分、島根県で一番牛を大事にしていると自分では思っています(笑)。牛は経済動物なので、牧場によっては体調不良になったら出荷してしまうとか、能力の低い牛だから出荷するとか、そういう話を聞くことがあります。私は牛が好きで、牛をモノとしてではなく大切な動物として育てているので、体調不良になってもそのまま出荷することは絶対にしません。
牛は体を張っていろいろなことを教えてくれているので、私もそれに精一杯応えたいと考えており、まずは悪いところを見つけて治療し、健康な体に戻す努力をします。体調不良になったからといってどこに問題があるのかわからないまま出荷してしまったら、次も同じことを繰り返すことになり、牛に申し訳ないし自分の成長もないと考えています。牛の世話に手間をかけるため省力化はできていませんが、これでいいかなと思っています」
JAや国、県に改善してほしいところはありますか?
「一昨年、牛乳余りの対策として、牛一頭処分したら15万円の補助金を支給するという国の減産推進策がありました。その政策により酪農家戸数の減少が加速し牛の頭数も減りました。今年もわからわから搾ったくても牛がいないという事態に陥りつつあるようで、先日テレビで生乳が足りなくなるかもしれないとのニュースを見ました。いろいろな事業や政策がありますが、その場しのぎの極端なものは農家のためにも牛のためにもならないので、やめてほしいです」
牧場を引き継いだときに変えたところはありますか?
「堆肥の匂いのことで、以前の経営者のときには地域住民から苦情が出ており、私が牧場を引き継ぐことにも地域の反対がありました。そこで、半年に1度地域の方に集まってもらい、堆肥をちゃんと処理していることを確認してもらうようにしました。地域の方に納得してもらいながら牧場をやっています」
他に、「アメリカ留学で学んだことはどんなことですか?」「挫折したことはありますか?」「経営で工夫されていることはありますか?」「牧場を経営していて楽しいことは何ですか?」などの質問が出ていました。
大石 巨太さんへの生徒からの質問と回答
酪農家の仕事は、今の高校生におすすめできますか?
「今、畜産情勢が厳しい中で新規参入をおすすめできるかというとむずかしいと思います。思うんですけど…縁あって2年ぐらい前に農業の会に呼ばれて東京や北海道に行く機会があり、学生たちとお話しをしました。その時も今のように厳しい情勢だったので、『酪農、いいですよ』という話をしていいのかな?と迷っていました。ところが、現地の高校生・大学生は、『実家が牧場だから料理人になって牛乳を使ったレシピをSNSで広めたい』とか、そういう夢を語っており、畜産業界が厳しい情勢でも関わっていきたい人はいるのだなと思いました。
畜産業界との関わり方は酪農家だけでなくいろいろな形があり、むしろこういう状況下で業界に飛び込んでくる人の方がある程度プランを持って挑んでくるのだから、勝算があると思います。
私はこの仕事を一生の仕事として選んだのですが、まるで後悔はなく、楽しくやってるということは言えます」
放牧で大変なことは何ですか?
「もっとも大変なことは、牛の運動量が多いため乳量が少ないことです…収入に直結するので。一方で、牛が山で草を食べるため飼料代が安くなったり、牛の足腰が強くなり健康になって医療費が少なくなったり、というメリットもあります。どちらをとるかという感じで、自分の中では乳量が減ることよりも放牧のメリットの方が上回ってるので、放牧をやっています。
また、知らぬ間に放牧地で子牛を生んでしまったり、牛が崖から落ちてしまうなどの事故があることも、放牧の大変なことです。牧場を始めた頃は人間も牛も放牧に慣れていないため、放牧にかかわる事故が多かったです。5年目を超えたあたりから人間も牛も慣れ、さらに子牛のときから山で遊んでいるうちの牧場生まれの牛が主体となったので、放牧での事故はなくなりました」
他に、「放牧で、飼料の管理はどうやっていますか?」「蕎麦殻を堆肥に使って、どんな効果がありますか?」「お休みはありますか?」「放牧酪農の魅力は何ですか?」などの質問が出ていました。
大石 巨太さん(ダムの見える牧場)
島根県松江市出身 41歳
広島大学卒業 → (公社)山口県畜産振興協会 → 木次乳業の牧場経営者募集に応募 → 木次乳業直営 日登牧場で研修
2014年『ダムの見える牧場』開牧
『WORLD CHEESE AWARDS 2024』に行ってきました。【最終回】
木次乳業チーズ室 川本 英二
11月にポルトガルのヴィゼウで開催された『ワールドチーズアワード2024』。私は、このコンテストに『国産チーズブランド化推進委員会』から派遣人員に推薦され、審査員として参加しました。
そのときのことを報告したいと思います。1月号、2月号に続き、3回目です。
ワールドチーズフェスティバル【11月15日~16日】
『ワールドチーズアワード』と同時に、隣の会場ではチーズの展示会『ワールドチーズフェスティバル』が開催されました。会場には日本チーズのブースもあり、海外のチーズの有識者を対象とした日本のチーズの試食を伴うワークショップが今回初めて行われました。
ワークショップ【11月15日】
ワークショップは、集まっていただいた25名ほどのチーズ有識者に5種類の日本チーズを召し上がってもらい、意見を述べていただくというもので、弊社の『オールドゴーダチーズ』も選ばれていたため、私は審査員の仕事を終えると隣の会場へ移動して、ワークショップを行う“チーム日本”に加わりました。
“チーム日本”は、まず、日本チーズの歴史、魅力などを説明し、次に生産者3人が自分の工房のチーズについて説明しました。私も『オールドゴーダチーズ』について一生懸命お話ししたところ、有識者から「これこそ私が求めるチーズ!」「力強さと優しさがあり、日本酒にも非常に合う」などの高い評価をいただきました。また、「日本のチーズは技術がとても高く、乳質も衛生管理も最高だと感じるが、どのチーズもヨーロッパのマネでコピー品の域を出ない」との意見もありましたが、それに続けて「日本のチーズに期待するのは、“これぞ日本のチーズ!”」と、私たちを驚かせるような新しいチーズだ」との言葉もいただきました。その言葉には、「日本のチーズは世界のチーズ業界に新しい風を吹かせることができるのではないか」といった期待が込められているように感じました。“チーム日本”の面々もその言葉に非常に感想を持っていました。
『ワールドチーズアワード』に日本のチームが初めて参加した2019年には、「日本でもチーズを作っているのか?」と聞かれるほど日本のチーズは知られていなかったそうですが、今では日本は高品質なチーズの産地という立場を確立しつつあります。そして、日本のチーズが次のフェーズに移る時期が来ており、日本国内だけでなく世界にもそれを待っている人がいる、ということを感じたワークショップでした。
展示会【11月16日】
『ワールドチーズフェスティバル』展示会の日本ブースは大変盛況で、ヨーロッパの人々の日本に対する関心の高さや、イメージの良さを感じました。ただ取り決めにより、一般のお客さまに日本のチーズを食べていただくことができなかったことがとても残念でした。
その会場で、富山からヴィゼウに嫁いできた日本人女性に会いました。その方にヨーロッパでの暮らしについて伺うと、「日本人はコンプレックスが強く西洋人や西洋の文化を必要以上に高く仰ぎ見てしまいうけれど、西洋で生活してみると西洋には西洋の良いところと良くないところ、日本には日本の良いところと良くないところがあることがわかる。西洋だからといって仰ぎ見るのではなく、目線の高さを合わせ堂々としていたらいい」と話されました。そのアドバイスが今の日本のチーズにも当てはまるように感じました。
スーパーマーケットの視察【11月16日】
『ワールドチーズフェスティバル』の合間を縫って、会場近くにあるスーパーマーケットに“チーム日本”で視察に出かけました。その店はとんでもない広さのチーズ売り場に、とんでもない種類・数のチーズが並んでおり、ヨーロッパの食におけるチーズの立ち位置の揺るぎなさを感じました。日本の一般家庭の食卓にも日常的にチーズを取り入れることができたらいいなと思いました。
ワールドチーズアワード結果発表【11月16日】
結果発表と表彰式は、BBCの名物アナウンサーが仕切るエンターテイメント性の高いものでした。結果は、地元・ポルトガルの羊乳チーズが優勝し、日本からエントリーしたチーズはスーパーゴールド1品、ゴールド4品、シルバー8品、ブロンズ8品の計21品が入賞しました。
弊社の『オールドゴーダチーズ』は残念ながら入賞することができませんでした。入賞することが目標の一つだったので、逃してしまったことはとても残念ですが、賞を取ること以上の何かを間違いなく得ることができた『ワールドチーズアワード2024』でした。
最後になりましたが、私をコンテストの派遣人員に推薦してくださった『国産チーズブランド化推進委員会』の皆さま、忙しい中、私を快く送り出してくれた会社の皆さん、そして、チーズ室のみんなに感謝します。
2025 雲南市桜まつり
『雲南食堂』
JR木次駅前に雲南市のグルメやおみやげが揃います。
【開催日時】
2025年4月5日(土)・6日(日)10:00~15:30頃
【会場】
木次駅前商店街
『オープントップバス定時運行』
3月29日(土)・30日(日) 4月5日(土)・6日(日)
『お花見人力車』
4月5日(土)
※オープントップバス、お花見人力車のご予約は雲南市観光協会へ。3月3日(月)から受付お問い合わせ・ご予約
雲南市観光協会
TEL:0854-47-7878 (平日9:00~17:00)
雲南市の桜情報:うんなん旅ネット
Facebook:雲南市観光協会
SNS: @unnancitytraveltips
桜まつりのおみやげにおススメ!
洋風もなか『かもなか』
『かもなか』は、あんバターと抹茶チョコレート、スポンジを重ね、最中で挟んだ和テイストの洋菓子です。加茂町加茂中のお菓子として誕生し、表面には加茂町のシンボルである鴨の焼印が押してあります。
半分に割ると、中の層も鴨色ですよ♪
※店舗のみの販売です。
パティスリー Hana Hana
Instagram:@patisseriehanahna
住所::島根県雲南市加茂町加茂中48-19
TEL::0854-49-8050
営業時間:9:00~18:30(土・祝日 9:00~18:00)
定休日:月曜日(祝日の場合火曜日休み)
中国牛乳・乳製品コンクール『中四国農政局長賞』
しじみのシュクメルリ
材料(4人分)
木次パスチャライズ牛乳 …… 500ml
鶏もも肉 …… 400g
さつまいも …… 1本(300g)
玉ねぎ …… 1個(200g)
しじみ …… 200g
おろしにんにく …… 25g
薄力粉 …… 大さじ3
サラダ油 …… 適量
バター …… 20g
しじみ出汁 …… 50ml
醤油 …… 大さじ2
レモン果汁 …… 小さじ1
塩 …… 小さじ1
こしょう …… 少々
ピザ用チーズ …… 80g
パプリカパウダー …… 適量
パセリ …… 適量
作り方
鶏肉 は一口大に切り、塩、こしょう、おろしにんにく で漬けておく。(20~30分程度)
さつまいも は一口大の乱切りにし、分量外の水と耐熱容器に入れ、ラップをして500wで5分加熱する。
しじみ を湯がいて漉し、出汁 としじみの身を分ける。
玉ねぎ は皮をむき、6等分のくし切りにする。
鍋にサラダ油 をひき、玉ねぎ が透明になるまで炒める。
⑤の鍋に鶏肉 を加えて炒める。
鶏肉に火が入ったら薄力粉 を加えて炒め、その後、牛乳、バター、しじみの出汁 を入れ10分程度煮込む。
⑦の鍋にさつまいも、しじみの身 を入れて温めた後、チーズ を入れて煮込み、レモン果汁、醤油 を入れて調味する。
皿に盛り、仕上げにパプリカパウダーとパセリ で彩る。
レシピ提供:松江栄養調理製菓専門学校